Thursday, January 13, 2011
海辺のジェンソン
これは一昨年前、私がある女性のために作ったストールである。プリントされているアルファベットは「Jenson」。そして彼女は一枚の写真を送ってきた。
「どうして彼女はJensonのストールを持って海辺に出かけたのだろう?」
Nicolas Jenson(1420-1480)は、イタリアのヴェネツィアで印刷業をはじめることになる。彼が印刷に出会うことになったのは一つのきっかけがありました。トゥールーズにある造幣局の責任者だった彼はある日、シャルル7世の命を受けてドイツで発明されたという最新の技術を学ぶためにマインツへ赴くことになりました。最新の技術とはもちろんグーテンベルグの発明した「活版印刷」。しかし、シャルル7世が逝去したため、彼はフランスへ活版印刷を持ち帰る拘束力を失ってしまいました。彼が目指したのはどういう訳か、水の都ヴェネツィアだった。
「どうして彼は海辺へ出かけたのだろう?どうしてこの地で私達が日常使っている現代の美しいアルファベットの礎を築くことになるのか?それは突如私達の文字の世界を変えた。それは海辺でないと生まれなかったのだろうか?」
もし彼がパリに帰っていたら活版印刷の歴史は大きく変わっていたに違いない。フランスで活版印刷が華開くのは、Jensonのせいでもう少し先延ばしになってしまったのだから。
ラベル:
illuminating letters
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