Tuesday, August 11, 2009
活版レシピ「わたしの馬棚」展示解説
展示品リスト
1.活版レシピ「わたしの馬棚」
2.活字書体見本帳「金属活字活版印刷ものがたり」限定版
3.六つの小林さん
4.すだれMac Book
5.わたしの馬棚(インスタレーション)
6.蒼頡四眼別漢字分布表
7.蒼頡スコープ
8.蒼頡像
9.temp pressのプロダクト
活版レシピ「わたしの馬棚」は、14ポイント岩田明朝体の活字ケースを分類ごとに色分けした16枚の活字ケースを原寸サイズでプリントした、一般的な文章が組める最低限の漢字が入った基本セットです。解説書が付いていますのでそれを見ながら和文活字ケースの配列の仕組みが理解できます。
活字書体見本帳「金属活字活版印刷ものがたり」限定版(サイン入り)東京・板橋にある活版印刷所「内外文字印刷株式会社」の保有する、岩田明朝体初号42ptから3.5ptのすべての活字が活版印刷された400ページに及ぶ活字見本帳です。活字と心中するつもりの男と題するエッセイと同社会長小林敬さんのポートレイトが活版刷りされた蛍光色のラベルが黒いスリーブケースに映える限定版を作りました。銀のペンで「どこまでもグーテンベルク」と小林さんのサインが入ってるのはあっと言う間に完売。
見本帳の作者である小林敬さんのポートレイトを、長く使われて来た活字ケースを裏返して描きました。色はわたしの馬棚の分類と同じ色で6種類あります。貼ったり剥がしたりした古いラベルが脇から覗き、ビビッドな蛍光色のモダンなイラストレションとのコントラストがとても面白いです。まるでシルクプリントの様ですが、一枚一枚手書きの一点モノです。もちろん活字ケースそれ自体が一点モノであることは言うまでもありません。
「すだれMac Book」は活字ケースを中表に二枚合わせて、銀色にペイントしてアップルのロゴの入った木製のMac Bookです。遠目には17インチのMac Bookにしか見えないほどそっくりです。これは活字がすべてコンピューターの中に入ってしまったが故に、活字棚はこの世から無くなろうとしていることを象徴しています。普段からMac Bookを写真の様に机に立てて、馬棚を模して遊んでいることを活版印刷側からアプローチしました。
わたしの馬棚(インスタレーション)今回新製品をより体感出来る様に実際のサイズで馬棚を再現しました。活字ケースは紙になり棚はダンボール製でどちらも大変軽量です。そして緑に染められた棚はまるで黒板のようで、これからはじまる活版レシピのレッスンを予兆させます。隠れた見所は活版インクで緑に染められていること、それと桟が行間を作るために木製のインテルで出来ていることです。出来たばかりの時はほんのりインクの香り漂うまさに活版印刷所をそこに持ってきた様なインスタレーションとなりました。
蒼頡四眼別漢字分布表は、部首別に並んでいるおよそ9300文字の漢字表の中にわたしの馬棚の漢字がどの程度分布しているのかを示しています。わたしの馬棚と対応する色、大出張(ピンク)、小出張(ブルー)、泥棒(イエロー)、袖(グリーン)の4種を異なる蛍光マーカでマーキングしました。
蒼頡スコープは四眼のスコープです。この位置からはまるで模様の様にしか見えない蒼頡四眼別漢字分布をスコープを使って覗きます。そうすると一部だけがクローズアップされ漢字がはっきり読めます。活字棚全体からたったひとつの文字を探す文選工の視覚はまるでこんな風だと思います。急にそこだけにピントが合う。私達はこのスコープを上手に使いこなせません、何故なら眼が二つしかないからです。いったい誰がこんなものを使いこなせるというのでしょう?
中国には漢字を作ったとされる四つ目の伝説の人物がいます。もちろんそれは作り話です。実際は男性として描かれていますが、わたしは女性として描きました。漢字という膨大で把握しきれない文字に対しての畏怖を昔の中国の人は人を超えた人物像で表したのではないでしょうか?自分たちが漢字を把握し切れないのは目の数が足りないからだという言い訳を作ったのかもしれない。彼女の名前は蒼頡(そうけつ)、スコープは彼女専用のもので、漢字表は彼女が四つの目で漢字を別々に把握出来ることを表してる。
通常のプロダクトに加え、限定のTシャツを製作しました。一つはすだれTシャツ、ひとつは蒼頡Tシャツ。どちらもこの夏誰も着ていないだろうオリジナル商品です。
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